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元気だけがとりえの金太郎に元気がない、というのがただいまの白石の目下研究課題だった。
白石は、子供のような金太郎が可愛くてしかたがない。
今日も「白石~!白石~!ちょっと聞いてや~!」と自分の周りを、金魚の糞の如く、付きまとってくる金太郎を想像しながら部活の時間を待っていた。
掃除当番を大至急済ませて部に急ぐと(同じ当番のクラスメイト達から「なんやずいぶん熱心な部長さんやなあ」とからかわれた。)金太郎は、部室のイスで膝を抱えてうずくまっていた。
「き、金ちゃん…どないしたん?」
金太郎は負のオーラを背負ったままピクリとも動かない。
「それがなぁ…金太郎はん、さっきからそうやってピクリとも動きまへんのや。お腹でも痛いんちゃいますか?」
と小春が言った。
「それよりユウク~~~~~ン♪今日の練習メニューなんやけどぉ~~~~~♪」
小春は一氏と部室を出て行った。
金太郎のことは白石がどうにかするやろという空気が部室にはあり、部員は心配しつつもコートに出て行った。
部室には金太郎と白石だけが残された。
「金ちゃん、どないしたん?」
しゃがみこんで金太郎の顔を覗こうとするけれど、金太郎の顔は抱え込んだ膝の下になっていて見えなかった。
「お腹でも痛いんか?昨日何食ったん?なんか悪いもん拾い食いしたんやろ」
ぽんぽんと頭を撫でると、金太郎は泣いているのか肩も声も震わせながら言った。
「白石の顔……俺見れへん。見ちゃいけないんや!」
「なんでや?俺、金ちゃんになんかしたか?」
「白石はなんもしてへんよ…でも見れないんやぁ…」
「…………。」
「金ちゃん、俺のこと嫌いになったん?」
金太郎はブンブン頭を振った。
(金太郎は天然すぎて、何考えてるかわからんからなぁ…)
「金ちゃん……いい加減本当のこと言わないと…………………………」
「しっ白石!!毒手は嫌やっ!!!」
金太郎がバッと顔をあげる。ボロボロと涙を流して顔を赤くしている相手を目にした瞬間白石は頭が真っ白になった。
「金ちゃん…」
「んっ」
顎をつかんで、無理矢理唇を重ねる。
「ん~~~~~~~~~っ!」
「っと……金ちゃんがあまりに可愛かったから…つい」
「白石ぃ~…」
金太郎は更にボロボロ泣き出した。
「ど、どうしたん?!どっか苦しいんか?!」
「白石!どないしよう!俺、病気みたいなんや!!!!」
「びょっ病気?!な、なんの病気なん?金ちゃん?」
「なんなんかわからへんけど…」
金太郎は顔を赤らめて俯いて呟いた。
「エッチな夢見てな…朝起きたらな、パンツが汚れてたんや…。白い気持ち悪い変なのがな、パンツについてたんや…。」
「き、金ちゃん…」
「そもそも白石が悪いんやで。俺の頭撫でたり、変なところ触ってきたり、キスしようとするからあんな変な夢みたんや…俺病気で変態になってしまったんやぁ…白石の馬鹿っ!!俺まだ死にたくないぃ~」
「き、金ちゃん……それって……」
ただの夢精やん、という言葉をゴクリと飲み込んで、白石は涙をポロポロ流す金太郎を見下ろした。
熱い何かが白石の理性を突き破って、姿を見せようとしている。
(続……かもしれない)
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