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ちょっとした短い小説の掃き溜め。 CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。 (※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず) コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
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「おはよう、手塚君」

朝、昇降口で出会った不二のその一言が、その日の俺の思考を支配することになろうとは、一体誰が予測できただろうか?



『思考の中枢』


卒業式も真近に迫った冬のことだった。
ぎょっと目を剥いたのは、手塚だけではない。登校途中で偶然出会った大石も、ギョッと飛び上がっていた。

「おはよう、手塚君。」

後ろから小走りでかけて来た不二は、そう穏やかに言って手塚の横を通り過ぎて行った。
傍目から見れば、一見なんの問題もない、穏やかな日常の風景の一コマに見えたに違いない。
しかし三年間を青学レギュラーとして過ごしてきた人間ならば、嫌でもその違和感に気がつかざるを得ない。
爽やかな朝の空気は、一瞬にして凍りついた。

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12歳の誕生日は、僕がこの世に生まれて3回目の誕生日だった。

それはちょっと矛盾していると皆思うかもしれない。

人は皆平等に年を取るものだ。

一年が過ぎ去った時、全世界の人が平等に一歳年をとるのだ。

もちろん僕だって、そんな神様が決めた法則から逆らう術なんか持っていない。

僕が生まれて12年の年月が流れたということは、僕が12歳になったということと同意義なのだ。

だけれども。

だけども2月29日生まれの僕は……四年に一度しか誕生日がやってこないのだ。

 

僕が生まれて三回目の誕生日。

12歳の僕は欲のない子供だった。

世界の有り様を知らず、自分の望むものを知らず、自分の求めるべきものをしらなかった。

だからあの年の…4年前の2月29日。

ねだるべきモノがまったく思いつかなかった僕は、神様にこう祈ったんだ。

 

どうか神様、お願いです。

次のお誕生日。僕の4年に1度しかやってこない誕生日。

16歳をむかえるその日、どうか僕の大好きな人達と、幸せな一日が過ごせますように。

 

 



『君が想い出になる前に』

 

 





手塚がランニングを終えて部室に戻ると、部室からは小さな明かりが漏れていた。
ドアを開くと、予想通りの相手がベンチの上で、ふんぞり返るように足を組んでいた。

「ね、手塚、今何時だかわかってる?」

笑顔だけれど、心の中では笑っていないようだ、と手塚は思った。

午前九時
手塚国光は、青春台駅で立ち尽くしていた。 
今日は部活のない休日で、だいぶ前から不二と遠出する約束をしていたのだが…

(来ない…。)

待ち合わせ時刻の10分前には手塚はやってきたのだが…肝心の相手が待てど暮ら
せど一向にやってこない。

(遅すぎる…。)



シャッターチャンスは一度だけ。



眩しいフラッシュの光と、シャッター音に手塚は振り向いた。
カメラを構えた不二が、レンズ越しに手塚を見つめている。
「不二?」
「笑ってよ、手塚」
そう言って不二はもう一度、シャッターを押した。
「………。」
手塚は仏頂面のまま、眉を顰めた。

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