ちょっとした短い小説の掃き溜め。
CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。
(※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず)
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いくら野球に忙しい高校球児と言えども、思春期真っ直中な彼等は、会話のネタが尽きると自然と下ネタに移行してしまうのが常である。
今日この日は、ミーティングのみで練習のない日なのだが、ミーティングが終わった後も誰も帰る気になれず、ぐだぐだとだべっていた。彼らはただ何もせず、チームメイトと笑いあってすごす、この曖昧で中途半端な時間をこよなく愛していた。今日の会話は昨日のテレビ番組から、今流行りの歌手やグラビアアイドルなどで盛り上がり、最終的にどういうわけかキスの話になった。
「キスってどんな味なんだろう?したことある?」
と栄口。
「はーい!俺知ってる!いちごミルク味!!」
と田島が手をあげる。
「えっ本当かよ?」
「本当だよっ!なっ!三橋!」
田島が隣に座っていた三橋に腕を回す。三橋もコクコクと頷いた。
「はぁ?なんで三橋に相槌求めんの?」
「ってか田島は誰とキスしたの?彼女いたっけ?」
キレ気味の阿部と空気の読めない水谷が尋ねる。
「田島に彼女なんかいねーし、田島のファーストキスの相手が、三橋だからだよ。」
「はあぁ?!」
憮然と答えた泉に、阿部が詰め寄る。泉は眉を潜めた。
「俺にキレんなよ。9組の奴等は皆知ってるし。」
「はぁ?!」
「だからこの前、うちのクラスでもキスってどんな味なのかって話題になってさ、田島が確かめてみたいっつって、三橋としたんだよ。はじめはおふざけで唇と唇の間にティッシュ挟んでしたんだけど、よく感触がわかんねっつって、次の日サランラップ持ってきて、サランラップ間に挟んでキスしたんだ。そしたら田島が、感触はわかったけど、味はわかんねって直に三橋にしちまったって…なんで俺がこんなこといちいち説明しなきゃなんねーんだっつの!」
泉は軽く阿部を蹴った。
「た、たじまくん…俺あの時いちごミルク飲んでたっから…じゃない?」
「あ、そっか!でもキスってマジきもちーよっ!なっ久しぶりにもう一回しようぜっ!」
「でっでも…あっ」
田島は三橋を抱き寄せると、一目もはばからず唇を重ねた。それは簡単な唇を重ねるだけのキスではなく、深い深いディープキスだった。
「っ…た…じま…くっ」
人前であるのが恥ずかしいのか、三橋は顔を赤らめて目に涙を浮かべ、若干の抵抗を見せた。田島はお構いなしに三橋の口内を舐めまわした。
(うっわ……)
西浦ーぜ達は、そのキスに目が釘付けになった。人目もはばからず、深いキスをかわすエースと四番打者に注意するなり怒るなりしなければと誰もが思ったが、こんなに近くで生々しいキスを見たことがなかった青少年達は固唾を飲んで、見入ってしまう。阿部だけが、声も出ないほどのショックで卒倒しそうになった。
「っぷはあっ」
やっと唇を離した二人は照れくさそうに笑って言った。
「めっちゃ甘かったっ!」
「さっ…きココア…飲んだばっかり…だっから…」
「みい~はあ~しい~」
「ヒィッ!あっ阿部くっ?!」
地獄の底から舞い戻って来た死人のような顔をした阿部が、三橋の頭を鷲頭かむ。
(あっ阿部くっ…?!なんか怒って…る?!)
「三橋、ちょっと来い」
阿部は立ち上がると、怯えて震える三橋の手を引っ張って教室を出ていった。阿部はそのまま無言で三橋を人気のない屋上まで連れていく。
「ね、お前さ、田島と付き合ってるわけ?」
フェンスまで追い詰めた阿部が三橋を見据える。完全に萎縮してしまった三橋は、目に涙を浮かべてかぶりを振った。
「つ…付き合って…ない…です…」
「じゃなんであんなことすんの?」
「あ、あんな…ことって…」
「キスだよ!キス!」
「た、たじまくんが…したいっ…て…おっおれ…男だし…貞操とか…関係ない…し…」
(男だから関係ないだぁ?!)
阿部の血管がブチ切れそうになる。
「お前っ!ファーストキスとか大事じゃねーのかよ?!」
「あ…あの…たったじ…たじま…くん…は…ファースト…キスの相手じゃ…な…い…か…ら…俺ずっと前に…終わってる…し…」
「はあああああ?!」
「ごっごめっんなさいぃぃ」
「お前のファーストキスの相手って誰だよそれじゃ?!」
「………か…かの…うくん…」
「叶と付き合ってんのか?!」
「む、むかし…でも…今は…付き合って…ない…よ…」
思わぬカミングアウトに阿部は頭が真っ白だった。怒るにも、阿部のほうが出会いが遅かったのだから仕方ない。
「あ、阿部くん…は…なんで…そっそんなに怒って…るんだ…?」
(怒ってる…?)
三橋を追い詰めながら阿部はハッと我に返った。
そうだ。確かに自分は怒っている。全身の血液が煮えたぎって逆流しそうなほど、怒り狂っているわけで。もし阿部が日本列島だったら、奥羽山脈と磐梯山と富士山と浅間山が一気に大噴火しているくらいだ。しかし今阿部が怒らなければならない理由なんて、ないのだ。だから三橋には伝わらない。どうしてこんなに腹腸の煮えくり返るような思いをしているのか。伝えなければ、三橋にはわからないままだ。
阿部は三橋の顎を掴んで、噛み付くようなキスをした。
「………っ」
「俺はこの唇を誰にも渡したくない。」
三橋の唇は柔らかくてふっくらとしている。阿部の唾液でシットリと湿った三橋の唇を、阿部は指でなぞった。
「お前がよくても俺は凄く嫌なんだ。」
「それって…え…?」
「あああもううわかんねーやつだな!お前のことが好きだっつってんだよっ」
「……………」
キョトンと固まる三橋。
「阿部く…ん…今の…本当?」
「あ、ああ。こんなこと嘘ついてどうすんだよ。笑えねぇだろ」
(ヤバい。勢いで告白しちまった…!)
瞬間、三橋はボロボロと大量の涙を零しばじめた。
「…そんなに…嫌かよ…」
ショックを受けて立ち尽くす阿部の腕を三橋は掴んだ。
「ちがっ…俺…嬉しく…て…俺っも…阿部くん…好き…ダカラ…でも俺…阿部くんに嫌われてると…思ってた…から…諦めてた…」
「馬鹿」
阿部は三橋をきつく抱き締めて言った。
「もう俺以外のやつと二度とキスするんじゃねーぞ。俺が傷付くんだからな。約束しろ。」
三橋は阿部の腕の中で、大量の涙を流しながら何度も何度も頷いた。
「………二人とも帰ってこないね。」
全然帰ってこないバッテリーが心配になった栄口が呟いた。
「三橋…大丈夫かな?」
「…大丈夫じゃない?」
曖昧に西浦ーぜ達は目配せする。
「だいたいお前が、三橋にキスなんてすっから。そういうのはな好きな相手とするもんだろ。友達間隔でキスすんなよ。」
花井が田島を小突く。
「え~?!じゃあ今度から花井としてもいい?」
田島が身を乗り出して花井を見つめる。
「なんで俺?!」
「だって俺花井が好きなんだもん!ゲンミツに!」
「うわあっちょっ待っ!」
勢い余って田島は花井を押し倒す。
「……………」
「……………」
その様子を見ていた水谷と栄口は、気まずそうにお互い目を合わせた。
「とっとりあえずね…栄口、俺達もキスしてみない?」
「あはは。絶対イヤ。」
終
今日この日は、ミーティングのみで練習のない日なのだが、ミーティングが終わった後も誰も帰る気になれず、ぐだぐだとだべっていた。彼らはただ何もせず、チームメイトと笑いあってすごす、この曖昧で中途半端な時間をこよなく愛していた。今日の会話は昨日のテレビ番組から、今流行りの歌手やグラビアアイドルなどで盛り上がり、最終的にどういうわけかキスの話になった。
「キスってどんな味なんだろう?したことある?」
と栄口。
「はーい!俺知ってる!いちごミルク味!!」
と田島が手をあげる。
「えっ本当かよ?」
「本当だよっ!なっ!三橋!」
田島が隣に座っていた三橋に腕を回す。三橋もコクコクと頷いた。
「はぁ?なんで三橋に相槌求めんの?」
「ってか田島は誰とキスしたの?彼女いたっけ?」
キレ気味の阿部と空気の読めない水谷が尋ねる。
「田島に彼女なんかいねーし、田島のファーストキスの相手が、三橋だからだよ。」
「はあぁ?!」
憮然と答えた泉に、阿部が詰め寄る。泉は眉を潜めた。
「俺にキレんなよ。9組の奴等は皆知ってるし。」
「はぁ?!」
「だからこの前、うちのクラスでもキスってどんな味なのかって話題になってさ、田島が確かめてみたいっつって、三橋としたんだよ。はじめはおふざけで唇と唇の間にティッシュ挟んでしたんだけど、よく感触がわかんねっつって、次の日サランラップ持ってきて、サランラップ間に挟んでキスしたんだ。そしたら田島が、感触はわかったけど、味はわかんねって直に三橋にしちまったって…なんで俺がこんなこといちいち説明しなきゃなんねーんだっつの!」
泉は軽く阿部を蹴った。
「た、たじまくん…俺あの時いちごミルク飲んでたっから…じゃない?」
「あ、そっか!でもキスってマジきもちーよっ!なっ久しぶりにもう一回しようぜっ!」
「でっでも…あっ」
田島は三橋を抱き寄せると、一目もはばからず唇を重ねた。それは簡単な唇を重ねるだけのキスではなく、深い深いディープキスだった。
「っ…た…じま…くっ」
人前であるのが恥ずかしいのか、三橋は顔を赤らめて目に涙を浮かべ、若干の抵抗を見せた。田島はお構いなしに三橋の口内を舐めまわした。
(うっわ……)
西浦ーぜ達は、そのキスに目が釘付けになった。人目もはばからず、深いキスをかわすエースと四番打者に注意するなり怒るなりしなければと誰もが思ったが、こんなに近くで生々しいキスを見たことがなかった青少年達は固唾を飲んで、見入ってしまう。阿部だけが、声も出ないほどのショックで卒倒しそうになった。
「っぷはあっ」
やっと唇を離した二人は照れくさそうに笑って言った。
「めっちゃ甘かったっ!」
「さっ…きココア…飲んだばっかり…だっから…」
「みい~はあ~しい~」
「ヒィッ!あっ阿部くっ?!」
地獄の底から舞い戻って来た死人のような顔をした阿部が、三橋の頭を鷲頭かむ。
(あっ阿部くっ…?!なんか怒って…る?!)
「三橋、ちょっと来い」
阿部は立ち上がると、怯えて震える三橋の手を引っ張って教室を出ていった。阿部はそのまま無言で三橋を人気のない屋上まで連れていく。
「ね、お前さ、田島と付き合ってるわけ?」
フェンスまで追い詰めた阿部が三橋を見据える。完全に萎縮してしまった三橋は、目に涙を浮かべてかぶりを振った。
「つ…付き合って…ない…です…」
「じゃなんであんなことすんの?」
「あ、あんな…ことって…」
「キスだよ!キス!」
「た、たじまくんが…したいっ…て…おっおれ…男だし…貞操とか…関係ない…し…」
(男だから関係ないだぁ?!)
阿部の血管がブチ切れそうになる。
「お前っ!ファーストキスとか大事じゃねーのかよ?!」
「あ…あの…たったじ…たじま…くん…は…ファースト…キスの相手じゃ…な…い…か…ら…俺ずっと前に…終わってる…し…」
「はあああああ?!」
「ごっごめっんなさいぃぃ」
「お前のファーストキスの相手って誰だよそれじゃ?!」
「………か…かの…うくん…」
「叶と付き合ってんのか?!」
「む、むかし…でも…今は…付き合って…ない…よ…」
思わぬカミングアウトに阿部は頭が真っ白だった。怒るにも、阿部のほうが出会いが遅かったのだから仕方ない。
「あ、阿部くん…は…なんで…そっそんなに怒って…るんだ…?」
(怒ってる…?)
三橋を追い詰めながら阿部はハッと我に返った。
そうだ。確かに自分は怒っている。全身の血液が煮えたぎって逆流しそうなほど、怒り狂っているわけで。もし阿部が日本列島だったら、奥羽山脈と磐梯山と富士山と浅間山が一気に大噴火しているくらいだ。しかし今阿部が怒らなければならない理由なんて、ないのだ。だから三橋には伝わらない。どうしてこんなに腹腸の煮えくり返るような思いをしているのか。伝えなければ、三橋にはわからないままだ。
阿部は三橋の顎を掴んで、噛み付くようなキスをした。
「………っ」
「俺はこの唇を誰にも渡したくない。」
三橋の唇は柔らかくてふっくらとしている。阿部の唾液でシットリと湿った三橋の唇を、阿部は指でなぞった。
「お前がよくても俺は凄く嫌なんだ。」
「それって…え…?」
「あああもううわかんねーやつだな!お前のことが好きだっつってんだよっ」
「……………」
キョトンと固まる三橋。
「阿部く…ん…今の…本当?」
「あ、ああ。こんなこと嘘ついてどうすんだよ。笑えねぇだろ」
(ヤバい。勢いで告白しちまった…!)
瞬間、三橋はボロボロと大量の涙を零しばじめた。
「…そんなに…嫌かよ…」
ショックを受けて立ち尽くす阿部の腕を三橋は掴んだ。
「ちがっ…俺…嬉しく…て…俺っも…阿部くん…好き…ダカラ…でも俺…阿部くんに嫌われてると…思ってた…から…諦めてた…」
「馬鹿」
阿部は三橋をきつく抱き締めて言った。
「もう俺以外のやつと二度とキスするんじゃねーぞ。俺が傷付くんだからな。約束しろ。」
三橋は阿部の腕の中で、大量の涙を流しながら何度も何度も頷いた。
「………二人とも帰ってこないね。」
全然帰ってこないバッテリーが心配になった栄口が呟いた。
「三橋…大丈夫かな?」
「…大丈夫じゃない?」
曖昧に西浦ーぜ達は目配せする。
「だいたいお前が、三橋にキスなんてすっから。そういうのはな好きな相手とするもんだろ。友達間隔でキスすんなよ。」
花井が田島を小突く。
「え~?!じゃあ今度から花井としてもいい?」
田島が身を乗り出して花井を見つめる。
「なんで俺?!」
「だって俺花井が好きなんだもん!ゲンミツに!」
「うわあっちょっ待っ!」
勢い余って田島は花井を押し倒す。
「……………」
「……………」
その様子を見ていた水谷と栄口は、気まずそうにお互い目を合わせた。
「とっとりあえずね…栄口、俺達もキスしてみない?」
「あはは。絶対イヤ。」
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