ちょっとした短い小説の掃き溜め。
CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。
(※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず)
コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
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12歳の誕生日は、僕がこの世に生まれて3回目の誕生日だった。
それはちょっと矛盾していると皆思うかもしれない。
人は皆平等に年を取るものだ。
一年が過ぎ去った時、全世界の人が平等に一歳年をとるのだ。
もちろん僕だって、そんな神様が決めた法則から逆らう術なんか持っていない。
僕が生まれて12年の年月が流れたということは、僕が12歳になったということと同意義なのだ。
だけれども。
だけども2月29日生まれの僕は……四年に一度しか誕生日がやってこないのだ。
僕が生まれて三回目の誕生日。
12歳の僕は欲のない子供だった。
世界の有り様を知らず、自分の望むものを知らず、自分の求めるべきものをしらなかった。
だからあの年の…4年前の2月29日。
ねだるべきモノがまったく思いつかなかった僕は、神様にこう祈ったんだ。
どうか神様、お願いです。
次のお誕生日。僕の4年に1度しかやってこない誕生日。
16歳をむかえるその日、どうか僕の大好きな人達と、幸せな一日が過ごせますように。
『君が想い出になる前に』
「ひぃ~食べ過ぎて苦しいよぉ…。」
「英ニ、食べてからすぐ寝ると豚になるよ?」
「豚じゃなくて、牛じゃなかったっけ?」
「そうだっけ?どっちでも良いじゃない。そんなに変わらないよ。」
2月29日。
今日は四年に1度の不二の誕生日だ。
菊丸発案の不二誕生記念会と称して、散々都内のテーマパークだの動物園だのを梯子したあげく、今は河村の家で寿司パーティの最中だ。
(四年に、一回だけ…)
四年に1度だけ訪れる今日という日を菊丸は不思議に思った。
誰だって1年に1度、必ず年をとる。
その大切な誕生日が四年に1度しか姿を現さないというのは、悲しくて、寂しいことなんじゃないだろうか……そっと不二の顔を見つめる。
不二は穏やかに笑っている。
いつも通りの彼だ。
不二と出会って4年が経つ。
出会いは青春学園中等部のテニス部だった。
人当たりがよくて、話やすかった不二とはすぐ打ち解けたと思う…もっとものちにとんでもなく破綻した性格の持ち主であることを後に知ったのだけれど。
3年の時は同じクラスで、クラスの皆からは仲良しコンビだと見なされていた。
ああ、そういえば、1度だけ公式試合でダブルスを組んだこともある。
あれも確か三年の時だった。
中学三年間、本当に仲良しだったけれど、その間本当の不二の誕生日を祝ったことがなかった。
不二の誕生日は四年に一度で、閏年生まれの彼の正確な誕生日…つまり2月29日は小学六年の時に迎えた後は、高1にならないと訪れないのだ。
もちろん2月28日や3月1日に振り替えて誕生会をしたけれど、それは振り替えに過ぎない。
不二はもうこれが当たり前になっているのかもしれないけれど、もし菊丸の誕生日がなんらかの理由で一日ずれたり、遅れたりしたら、菊丸はその日一日をずっと不機嫌に過ごすに違いなかった。
(俺は、ずっと、29日に、不二の誕生日を祝いたかったんだ。ずっと、ずっと、ずっと)
そしてようやく今日。
高1になって、ようやく、菊丸は親友の真の誕生日を祝うことが出来たのだ。
「英ニ、今日はありがとう。」
背を向けたまま不二が言った。
(ははん、照れてるな)
と菊丸は思った。
心からそう思っているのだろう。
心にもないことを、平気ですらすらと話す不二は、意外と本心を話すことが苦手なのだ。(ということも四年の付き合いの中で、知ったことなのだが)
「どういたしまして。」
「英ニ、すっごく張り切ってたよね、今日。」
「あり?ばれてた?」
「バレバレだよ。隠してるつもりだったの?遅刻魔の英ニが待ち合わせ場所に一番に来てたりとか、今日の計画とかスケジュールとかも英ニが全部立ててくれたって聞いたよ?」
「んーまあ、っつっても俺もわかんないことだらけで、乾にいっぱい手伝ってもらったけどね。都心の路線ってどーしてまー、あんなに複雑なんだろうね!それにお寿司パーティだって、タカさんの協力が無かったらできなかったよ。」
「それでもありがとう、英ニ。」
そう囁いた不二の背中がとても寂しそうに映った。
「不二、ごめんね。」
「なにが?」
「この場所に、手塚がいなくて。」
手塚、と発音した瞬間にビクッと不二の背中が揺れた気がした。
「どうして?」
「どうしてもだよ。」
ごろんと寝転んだままの菊丸の位置からは不二の背中しか見えないけれど、きっと不二はいつも通り笑顔の仮面をつけてるんだろうな、と菊丸は思った。
手塚は…テニス部部長だった手塚だけは高等部に進むという選択をしなかった。
今はずっと遥か彼方の海の向こうで、テニスをしている。
4年も親友をしていれば、不二が手塚にどんな想いを抱いていたかなんて手に取るようにわかってしまうものだ。
手塚だって不二が好きだったに決まってる(少なくとも菊丸の目にはそう見えた。)
お互い好き同士の者が、離れ離れに引き裂かれることほど、悲しい物語はない。
そして卒業して以来、不器用な2人は連絡を取っている形跡が跡形も無かった。
寂しそうな溜息ばかりつく不二の姿を見るのが、つらい。
「手塚を呼びたかったんだ。俺からの一番のプレゼントは、この場所に手塚を呼びつけることだったんだけど…失敗しちゃった。だからせめて不二が最高に楽しいって思えるようにいろいろ計画を練ってみたんだ。でもやっぱり今日の不二見てて思ったけど、不二の最高の笑顔を引き出せるのって手塚なんだよなー。なんか悔しいーっ!」
ガパッと起き上がる。
と同時にギョッと菊丸は目を見開いた。
「ふっふじっ??!!」
普段どおりの笑顔の仮面をつけたままだとばかり思っていた相手は、大粒の涙を零してボロボロ泣いていた。
「不二?!どうしたの?!食べ過ぎてお腹痛い?!」
「ううっ…」
不二の喉から嗚咽がこぼれだす。両手で顔を覆って不二は号泣しはじめた。
おろおろと菊丸が不二の肩を抱く。
何事かと、片付けに熱中していた乾やタカさんもこちらを振り返る。
「ふ…不二?」
「英ニッ…ありがと…僕嬉しい…嬉しいんだよ…。ずっと青学の皆で本当の誕生日を過ごしたいって…思って…たんだ…でも中学3年間…29日…が無かったか…ら」
菊丸は優しく不二の背中を撫でてやった。
「高校に入ったら…きっと皆新しい…友達…とか出きて…中学の頃のメンバーでっ誕生日を祝うことっなんて…できないだろうな…って…心の中で思ってて…ずっと寂しく…て。英ニが…英ニが…そこまで僕のことを…考えていてくれたのかと…思う…と…」
その時、不二の携帯の着信音が鳴り響いた。
不二の大好きなこの優しい曲調の着信音を鳴らせる携帯は、この世に一つしかない。
「不二、俺からの本当の誕生日プレゼントだよ。声だけになっちゃうけど、ごめんね。」
菊丸は泣きじゃくる不二の携帯の通話ボタンを押すと、不二の耳に押し当ててやった。
立ち上がってその場を離れると、目を輝かせて最高の笑顔で、遠く離れた愛しい人と話す不二の背中を見つめる。
小さな背中を見つめて菊丸は呟いた。
「Happy birthday」
なによりも、生まれてきてくれて、本当にありがとう。
「英ニ、食べてからすぐ寝ると豚になるよ?」
「豚じゃなくて、牛じゃなかったっけ?」
「そうだっけ?どっちでも良いじゃない。そんなに変わらないよ。」
2月29日。
今日は四年に1度の不二の誕生日だ。
菊丸発案の不二誕生記念会と称して、散々都内のテーマパークだの動物園だのを梯子したあげく、今は河村の家で寿司パーティの最中だ。
(四年に、一回だけ…)
四年に1度だけ訪れる今日という日を菊丸は不思議に思った。
誰だって1年に1度、必ず年をとる。
その大切な誕生日が四年に1度しか姿を現さないというのは、悲しくて、寂しいことなんじゃないだろうか……そっと不二の顔を見つめる。
不二は穏やかに笑っている。
いつも通りの彼だ。
不二と出会って4年が経つ。
出会いは青春学園中等部のテニス部だった。
人当たりがよくて、話やすかった不二とはすぐ打ち解けたと思う…もっとものちにとんでもなく破綻した性格の持ち主であることを後に知ったのだけれど。
3年の時は同じクラスで、クラスの皆からは仲良しコンビだと見なされていた。
ああ、そういえば、1度だけ公式試合でダブルスを組んだこともある。
あれも確か三年の時だった。
中学三年間、本当に仲良しだったけれど、その間本当の不二の誕生日を祝ったことがなかった。
不二の誕生日は四年に一度で、閏年生まれの彼の正確な誕生日…つまり2月29日は小学六年の時に迎えた後は、高1にならないと訪れないのだ。
もちろん2月28日や3月1日に振り替えて誕生会をしたけれど、それは振り替えに過ぎない。
不二はもうこれが当たり前になっているのかもしれないけれど、もし菊丸の誕生日がなんらかの理由で一日ずれたり、遅れたりしたら、菊丸はその日一日をずっと不機嫌に過ごすに違いなかった。
(俺は、ずっと、29日に、不二の誕生日を祝いたかったんだ。ずっと、ずっと、ずっと)
そしてようやく今日。
高1になって、ようやく、菊丸は親友の真の誕生日を祝うことが出来たのだ。
「英ニ、今日はありがとう。」
背を向けたまま不二が言った。
(ははん、照れてるな)
と菊丸は思った。
心からそう思っているのだろう。
心にもないことを、平気ですらすらと話す不二は、意外と本心を話すことが苦手なのだ。(ということも四年の付き合いの中で、知ったことなのだが)
「どういたしまして。」
「英ニ、すっごく張り切ってたよね、今日。」
「あり?ばれてた?」
「バレバレだよ。隠してるつもりだったの?遅刻魔の英ニが待ち合わせ場所に一番に来てたりとか、今日の計画とかスケジュールとかも英ニが全部立ててくれたって聞いたよ?」
「んーまあ、っつっても俺もわかんないことだらけで、乾にいっぱい手伝ってもらったけどね。都心の路線ってどーしてまー、あんなに複雑なんだろうね!それにお寿司パーティだって、タカさんの協力が無かったらできなかったよ。」
「それでもありがとう、英ニ。」
そう囁いた不二の背中がとても寂しそうに映った。
「不二、ごめんね。」
「なにが?」
「この場所に、手塚がいなくて。」
手塚、と発音した瞬間にビクッと不二の背中が揺れた気がした。
「どうして?」
「どうしてもだよ。」
ごろんと寝転んだままの菊丸の位置からは不二の背中しか見えないけれど、きっと不二はいつも通り笑顔の仮面をつけてるんだろうな、と菊丸は思った。
手塚は…テニス部部長だった手塚だけは高等部に進むという選択をしなかった。
今はずっと遥か彼方の海の向こうで、テニスをしている。
4年も親友をしていれば、不二が手塚にどんな想いを抱いていたかなんて手に取るようにわかってしまうものだ。
手塚だって不二が好きだったに決まってる(少なくとも菊丸の目にはそう見えた。)
お互い好き同士の者が、離れ離れに引き裂かれることほど、悲しい物語はない。
そして卒業して以来、不器用な2人は連絡を取っている形跡が跡形も無かった。
寂しそうな溜息ばかりつく不二の姿を見るのが、つらい。
「手塚を呼びたかったんだ。俺からの一番のプレゼントは、この場所に手塚を呼びつけることだったんだけど…失敗しちゃった。だからせめて不二が最高に楽しいって思えるようにいろいろ計画を練ってみたんだ。でもやっぱり今日の不二見てて思ったけど、不二の最高の笑顔を引き出せるのって手塚なんだよなー。なんか悔しいーっ!」
ガパッと起き上がる。
と同時にギョッと菊丸は目を見開いた。
「ふっふじっ??!!」
普段どおりの笑顔の仮面をつけたままだとばかり思っていた相手は、大粒の涙を零してボロボロ泣いていた。
「不二?!どうしたの?!食べ過ぎてお腹痛い?!」
「ううっ…」
不二の喉から嗚咽がこぼれだす。両手で顔を覆って不二は号泣しはじめた。
おろおろと菊丸が不二の肩を抱く。
何事かと、片付けに熱中していた乾やタカさんもこちらを振り返る。
「ふ…不二?」
「英ニッ…ありがと…僕嬉しい…嬉しいんだよ…。ずっと青学の皆で本当の誕生日を過ごしたいって…思って…たんだ…でも中学3年間…29日…が無かったか…ら」
菊丸は優しく不二の背中を撫でてやった。
「高校に入ったら…きっと皆新しい…友達…とか出きて…中学の頃のメンバーでっ誕生日を祝うことっなんて…できないだろうな…って…心の中で思ってて…ずっと寂しく…て。英ニが…英ニが…そこまで僕のことを…考えていてくれたのかと…思う…と…」
その時、不二の携帯の着信音が鳴り響いた。
不二の大好きなこの優しい曲調の着信音を鳴らせる携帯は、この世に一つしかない。
「不二、俺からの本当の誕生日プレゼントだよ。声だけになっちゃうけど、ごめんね。」
菊丸は泣きじゃくる不二の携帯の通話ボタンを押すと、不二の耳に押し当ててやった。
立ち上がってその場を離れると、目を輝かせて最高の笑顔で、遠く離れた愛しい人と話す不二の背中を見つめる。
小さな背中を見つめて菊丸は呟いた。
「Happy birthday」
なによりも、生まれてきてくれて、本当にありがとう。
×××××
日付変わっちゃっ…たっ…!(涙)
ハッピーバースデイ!不二!大好きだ!
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