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ちょっとした短い小説の掃き溜め。 CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。 (※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず) コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
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「あ」

部屋を出ようと扉を開けた時、目の前に今まさにノックをしようとしている織田がいた。

「織田…」
「叶……」

しばしの沈黙。気まずいムードが流れた。


「なぁ織田…」
「行かへんよ。」
「へ?」

織田は一歩を踏み出して叶を抱き締めた。

「関西の大学なんて行かへん。」
「なんで…そのこと…」
「机にな…パンフが出しっぱなしになっとって。それ見た時…あぁ叶はこれ見て怖くなってしもうたんかなぁって思って。だからあんな話したんかなって…」

織田の腕の力が強まる。叶は織田の胸に顔を埋めた。

織田は全てをわかっている。自分の弱いところを知っていて受け止めてくれている。

温かくて心地よくて。

自分の弱さをさらけ出すことがこんなに心地よいことだなんて知らなかった。


「俺元々関西に帰るつもりなんかないんやで?叶の勘違いや。俺こっちの大学行くつもりやって…。あのパンフは勝手にオカンが寄越しただけなんや…」
「へ?」

顔をあげる。恥ずかしそうな顔をした織田が頭を掻いていた。


「オカンがな…帰って来きて欲しいみたいでな。俺は叶と離れる気なかったから断ったんや。」

「へへっ」
「なに笑ってん?」

「あははは」

嬉しくなって笑みがこぼれる。
疑心暗鬼になって一人塞ぎ込んだ自分が馬鹿みたいだ。

「織田…」

ごめんと言いたいのにありがとうと言いたいのに言葉は喉の奥で詰まってしまう。照れくさくて恥ずかしい。


「えぇよ。わかっとるから。」


そんな叶を見て織田はやんわりと笑い叶の頭を撫でた。


温かくて気持ち良い空間。

ずっとずっと彼と一緒にいたいと思った。


心の底から。





ありがとう…




叶は心の奥で呟いた。




「織田」


「なんや?」


叶は爪先だちで背伸びをし織田の頬にキスをした。


「俺決めた。もう離れないからな。織田がいつか遠くに行くことになってもついて行く。」

クスッと織田が笑う。

「地獄の果てまで?」

力強く頷いて叶は言った。

「地獄の果てまで!」







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