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ちょっとした短い小説の掃き溜め。 CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。 (※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず) コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
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三橋の家の紅茶はひと味違う。俺みたいな庶民の慣れ親しんだ紅茶なんつーもんは、100%ティーパックのやつだ。使い捨てのな。もしくはその辺の自販機で売ってるペットボトルないし紙パック。あややのCMなんつえば、おなじみだろ?

ところが、だ。
三橋んちに行ってみて驚いたことがある。知ってるか?三橋んちの紅茶ってちゃんと急須で入れるんだぜ?急須っつーと日本茶みてぇだな。あれだ…なんつえば良い?ポット…か?
まぁそんなことはどうでも良い。
とにかく三橋んちの紅茶は旨いんだ。味も濃厚だし、香りも良い。最高だ。きっと高い茶葉を使ってんだな。
更にお茶を注ぐ陶器なんて本当高そうな雰囲気だぜ。
割ったら大変だなとか考えると変な緊張しちまう。

つまり三橋んちって金持ちなんだ、ようするに。
じぃちゃんが学校の経営者だもんな。ま、貧乏なわけねぇよな。でも三橋には自分が他人と比べて生活水準が高いなんて考えたこともないらしい。金持ちだっつー自覚がねぇんだ。小遣いなんか俺の倍くらい貰ってるくせにな。




三橋は今日も叔母さんが入れてくれた紅茶に砂糖とミルクを大量に投下した。
俺には自爆テロにしか見えないね。だってよその砂糖の量…飽和量の限界を超えてねぇか?だいたいそんだけミルク入れちまったら紅茶の香りもクソもねぇよな。もったいねー…。

俺は胃がムカムカしそうな紅茶を啜る三橋を眺めながら自分にあてがわれたカップをすする。もちろん俺はストレートで頂く。ああ、旨い。香りも最高だ。


「ね、」

不意をついたつもりか三橋は俺にキスをした。
別に驚くことじゃない。消極的すぎる三橋の小心を克服すべく、俺に会った日は必ず一回自分からキスするように命令している。じゃねぇと一方的に俺ばっかになっちまうからな。おいそこ、不憫だとか言ってんじゃねー。


問題は三橋のタイミング。

最悪なまでに甘い。なんつーもん飲んでんだコイツは。

「あ、阿部君…良い匂いが…するね」
と照れながらもはやミルクと砂糖でしかない紅茶を啜る三橋。

おい、三橋。その良い匂いってやつな俺じゃねぇんだよ。お前の分のその良い香りは、お前が殺しちまったんだよ。



ま、可愛いからなんでもいいか。
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