ちょっとした短い小説の掃き溜め。
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(※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず)
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ー世界はいつか瓦解するー
幸せは長くは続かないというのが俺の持論だ。泣きっ面に蜂、七転八起、転ばぬ先の杖が折れる…これは違うか。
判りやすい例をあげるならまさに今俺の横で宿題に奮闘中のこの浜田。
コイツは俺と同小同中同高…のいわゆる幼馴染み、と言うやつだ。浜田の人生の大部分を俺は知っている。
小学生の頃、浜田は野球に夢中だった。これは幸せだった時期。毎日空き地で球を投げては投げてはいた日々。でもこの幸せは長くは続かない。リトルリーグ肘を患った浜田は、一番愛着のあった投手にはもうなれない。
そして中学。未練はあっただろうに投手をやめても浜田は野球を捨てなかった。違うポジションに次第に慣れていった浜田は野球を純粋に楽しんでいたと思う。俺は打者としても浜田のことを尊敬してた。この頃は浜田先輩なんて呼んでいつも浜田の後をついてまわってた。純粋に同じ野球を志す先輩として尊敬してたんだ。でもこの幸せだって長くは続かなかった。家庭に訪れた不幸が浜田から野球を奪った。
高校時代。浜田は野球をやめた。俺も受験で忙しかったからこの頃の浜田をよく知らない。でもきっとこの一年は浜田の人生の中で最も不幸で最も暗黒の部分だろうと思う。浜田はこの一年間でとことん墜ちて汚れていった。そして少しずつ元に戻って行った。
高校生活二年目、ダブって進級できなかった浜田は俺と同じクラスになる。この時から浜田先輩は同級生の浜田になった。俺は迷わず野球部に入った。この頃にはもう浜田のいない野球部に慣れていた。
浜田は野球を捨て切れなかった。間接的にも野球を楽しみたかった浜田は…応援団を作った。きっと今の浜田は幸せだ。野球をしなくなった浜田のこんなに楽しそうな姿を見るのははじめてで。一緒にもう一度野球がしたいという言葉を俺は飲み込むしかなかった。
今の幸せそうな浜田。
この幸せはいつまで続くんだろう。
この幸せが永遠に続くはずがない。禍福はあざなえる縄のごとし。福の分の禍がある。
俺はいつまで…浜田の隣にいられるんだろう。
「泉、そんな怖い顔で何見てんの?あ、進路希望調査?」
浜田が俺の手元を覗き見る。
「浜田はもう出した?」
「あっははは…無くしたよその紙…」
「お前な…。」
「だって一年のうちから三年後のこと考えろって言われてもピンとこないっつーか?」「お前は二年目だろうがっ!」
「なんだよ怖ぇな泉…。お前は決ってんの?理系にするかとか文系にするかとか…将来何になる、とかさ」
「そんなの……」
気がつけば手のひらでグシャリとプリントを丸め潰していた。
そんなことは…………そんなことは考えたことがない。
ーこの世界はいずれ瓦解するからー
世界が終焉を迎えたその時に……浜田の隣に居たい。それが俺の望む進路。
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