ちょっとした短い小説の掃き溜め。
CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。
(※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず)
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真夏の夜のこと。
三橋がベッドに入ろうとした時けたましく携帯が鳴った。
「うおっ!たっ田島君っだ…!」
慣れない手つきで通話ボタンを押すと、聞き慣れたあの有り余った元気な声が聞こえてくる。
「よ~すっ三橋ぃ!」
「たっ田島くっん!どど…どうしたの?」
「な~!三橋の部屋のおっきな窓あるじゃん?そっから顔出してみて!」
「う、うん!わかった!ちょっと待ってて!」
ひょこっと言われた通りに窓から顔を出す。
満天の青空の下に田島が両手を振って立っていた。
「たたたたっ田島君!?」
「三橋ぃ!花火やろうぜ!花火ぃ!」
田島は花火の入った袋を掲げて見せる。
「う、うん…!待ってて!今行く…から!」
携帯を切って、パジャマのまま階段を駆け降りて外に出る。
「三橋、靴が間違ってるぞぉ~」
自分のサンダルをひっかけてきたつもりだったのだが慌てすぎて右足に母のサンダルを履いていた。
「うっうぉ!」
「ま、気にすんな。大丈夫だって。ほらこれ三橋の分」
花火の束を三橋に手渡す。
「たっ田島君ありがとっう!」
「なはは。俺が急にやりたくなっただけだから気にすんな。」
それから二人は存分に花火を楽しんだ。
勢いのある赤や青や橙に七変化する炎を三橋は不思議そうに眺めていた。
(友達……と…夜中に花火なんて…はじめてだ…)
なんとなくわくわくしてフワフワと楽しくてたまらない気分になった。
やがて花火もそこをつき、二人は最後の線香花火に火を灯す。
今までとは違う優しい炎が暗闇の中を踊り跳ねて輝いた。
「き、綺麗だね…」
「あ!!!」
「うっうお…!」
いくばくもしないうちに田島の火の玉は落ちてしまった。
「ちぇ……」
「ざんね…んだった…ね」
「三橋、動くなよ!」
「うぇ?」
田島はもはや糸だけになってしまった線香花火の先端を三橋の花火にそっと近付けた。
そっと三橋の花火の火の玉にふれる。
そしてゆっくりゆっくり離していく……
「あっ!」
「いぇい!分離成功~!」
三橋の火の玉はちょうどわけあうように半分が田島の花火に移って行った。
田島の線香花火は小さいながらも息を吹き返し綺麗に跳ねた。
「たったた田島君はすごいなぁ!!」
「そうか!すごいか!」
三橋は花火に負けないくらい眼を輝かせて田島を見た。
「でも終わっちゃったな…」しばらくして二人でわけあった火の玉もぽとりと地へ落ちて行く。
全ての花火が今やバケツの中となってしまった。
(来年も……田島君と花火……できるかなぁ…)
来年まで田島は自分のことを好きでいてくれるだろうか…と三橋は少し不安になった。ギュッとパジャマの裾を掴む。
「ま、今年の花火は終わっちゃったけど来年もまたやろうな、三橋!」
「ほっ本当!?」
「本当!本当!約束なっ!」「うっうん!」
(すごい……田島君は…俺の考えてることが…わかっちゃう…ん、だ)
「あ、三橋。ボタンかけちがえてるぞ。」
そっと田島の手が三橋の胸に伸びる。距離が縮まる。田島は少しかがんでゆっくりと三橋のパジャマを治してやった。
(うわぁ…ち、ちかい…)
田島の頭が鼻の触れる先にある。シャンプーの良い香りがした。
すっと顔をあげた田島と眼があう。こんな真近で田島の顔を見たのははじめてだった。
(田島く…んのそばかす…が近い…)
ちゅと音がして唇に何か温かいものが触れる。
「!」
(きっきす……)
思わず目をきつく瞑ってしまう。数秒間の沈黙の後ゆっくり瞼をあけると田島はもうバケツを自転車のカゴに入れていた。足をあげて自転車に跨がる。
「今のは阿部には内緒だぞ。あいつすぐ怒るからな」
田島は中指を口元に当てて優しく笑って言った。
コクコクと真っ赤な顔で三橋は頷く。
「じゃ~なぁ!また明日~三橋~!」
勢いよくペダルを踏み込んで田島は去って行く。小さな頼もしい背中がどんどん闇の中に紛れて行った。
田島の姿が見えなくなっても三橋は立ち尽くしていた。
心臓が飛び出るんじゃないかと不安になるくらいバクバクしている。
(田島君は…すごい人…だ…俺の考えて…ること…がわかるん…だ)
だってさっき……
あの至近距離で見つめあった時…
俺もキスしたい…と思った…んだ。
三橋がベッドに入ろうとした時けたましく携帯が鳴った。
「うおっ!たっ田島君っだ…!」
慣れない手つきで通話ボタンを押すと、聞き慣れたあの有り余った元気な声が聞こえてくる。
「よ~すっ三橋ぃ!」
「たっ田島くっん!どど…どうしたの?」
「な~!三橋の部屋のおっきな窓あるじゃん?そっから顔出してみて!」
「う、うん!わかった!ちょっと待ってて!」
ひょこっと言われた通りに窓から顔を出す。
満天の青空の下に田島が両手を振って立っていた。
「たたたたっ田島君!?」
「三橋ぃ!花火やろうぜ!花火ぃ!」
田島は花火の入った袋を掲げて見せる。
「う、うん…!待ってて!今行く…から!」
携帯を切って、パジャマのまま階段を駆け降りて外に出る。
「三橋、靴が間違ってるぞぉ~」
自分のサンダルをひっかけてきたつもりだったのだが慌てすぎて右足に母のサンダルを履いていた。
「うっうぉ!」
「ま、気にすんな。大丈夫だって。ほらこれ三橋の分」
花火の束を三橋に手渡す。
「たっ田島君ありがとっう!」
「なはは。俺が急にやりたくなっただけだから気にすんな。」
それから二人は存分に花火を楽しんだ。
勢いのある赤や青や橙に七変化する炎を三橋は不思議そうに眺めていた。
(友達……と…夜中に花火なんて…はじめてだ…)
なんとなくわくわくしてフワフワと楽しくてたまらない気分になった。
やがて花火もそこをつき、二人は最後の線香花火に火を灯す。
今までとは違う優しい炎が暗闇の中を踊り跳ねて輝いた。
「き、綺麗だね…」
「あ!!!」
「うっうお…!」
いくばくもしないうちに田島の火の玉は落ちてしまった。
「ちぇ……」
「ざんね…んだった…ね」
「三橋、動くなよ!」
「うぇ?」
田島はもはや糸だけになってしまった線香花火の先端を三橋の花火にそっと近付けた。
そっと三橋の花火の火の玉にふれる。
そしてゆっくりゆっくり離していく……
「あっ!」
「いぇい!分離成功~!」
三橋の火の玉はちょうどわけあうように半分が田島の花火に移って行った。
田島の線香花火は小さいながらも息を吹き返し綺麗に跳ねた。
「たったた田島君はすごいなぁ!!」
「そうか!すごいか!」
三橋は花火に負けないくらい眼を輝かせて田島を見た。
「でも終わっちゃったな…」しばらくして二人でわけあった火の玉もぽとりと地へ落ちて行く。
全ての花火が今やバケツの中となってしまった。
(来年も……田島君と花火……できるかなぁ…)
来年まで田島は自分のことを好きでいてくれるだろうか…と三橋は少し不安になった。ギュッとパジャマの裾を掴む。
「ま、今年の花火は終わっちゃったけど来年もまたやろうな、三橋!」
「ほっ本当!?」
「本当!本当!約束なっ!」「うっうん!」
(すごい……田島君は…俺の考えてることが…わかっちゃう…ん、だ)
「あ、三橋。ボタンかけちがえてるぞ。」
そっと田島の手が三橋の胸に伸びる。距離が縮まる。田島は少しかがんでゆっくりと三橋のパジャマを治してやった。
(うわぁ…ち、ちかい…)
田島の頭が鼻の触れる先にある。シャンプーの良い香りがした。
すっと顔をあげた田島と眼があう。こんな真近で田島の顔を見たのははじめてだった。
(田島く…んのそばかす…が近い…)
ちゅと音がして唇に何か温かいものが触れる。
「!」
(きっきす……)
思わず目をきつく瞑ってしまう。数秒間の沈黙の後ゆっくり瞼をあけると田島はもうバケツを自転車のカゴに入れていた。足をあげて自転車に跨がる。
「今のは阿部には内緒だぞ。あいつすぐ怒るからな」
田島は中指を口元に当てて優しく笑って言った。
コクコクと真っ赤な顔で三橋は頷く。
「じゃ~なぁ!また明日~三橋~!」
勢いよくペダルを踏み込んで田島は去って行く。小さな頼もしい背中がどんどん闇の中に紛れて行った。
田島の姿が見えなくなっても三橋は立ち尽くしていた。
心臓が飛び出るんじゃないかと不安になるくらいバクバクしている。
(田島君は…すごい人…だ…俺の考えて…ること…がわかるん…だ)
だってさっき……
あの至近距離で見つめあった時…
俺もキスしたい…と思った…んだ。
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