ちょっとした短い小説の掃き溜め。
CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。
(※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず)
コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
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俺はあの笑顔に弱い。
あのほほ笑みを見るとどうしても嫌だとか止めた方が良いだとか心に思っていてもとても言えない。口に出せない。言葉にならない。
NOと正直に言ったほうが精市のためになることも…。
「ねぇ蓮二。クッキー焼いたんだけど、食べてくれるよね?」
俺は目の前に差し出されたとてもクッキーと識別することのできぬ真っ暗な炭の物体を見つめた…。
「もしかして…クッキー嫌いだった?」
「そ、そんなことは……」
駄目だ…。
こんな炭…胃癌の元だとはとても言えない。
「い、いただこう…」
震える手でその物体に手を伸す。
「………………」
精市はずっと俺を見ていた。嫌でも旨い顔をしなければ…
これは炭じゃない…
これは…そうだ…イカ墨クッキーだと思うことに……
「せ、精市…」
「ん?」
「げ、弦一郎には食わせたのか?」
「まだだけど…」
「わけてやるといい。きっと手放しで喜ぶぞ。」
「そうだね!ちょっと行ってくる!」
精市は笑顔で走り去って行った。
すまん弦一郎……。
お前の尊い犠牲を俺は忘れるまで忘れないぞ…。
俺はこのすきにあのおぞましい炭の物体をゴミ箱に捨てることに成功したのだった。
俺のために時を割いて作ってくれた…その気持ちだけ受け取ろう。
あのほほ笑みを見るとどうしても嫌だとか止めた方が良いだとか心に思っていてもとても言えない。口に出せない。言葉にならない。
NOと正直に言ったほうが精市のためになることも…。
「ねぇ蓮二。クッキー焼いたんだけど、食べてくれるよね?」
俺は目の前に差し出されたとてもクッキーと識別することのできぬ真っ暗な炭の物体を見つめた…。
「もしかして…クッキー嫌いだった?」
「そ、そんなことは……」
駄目だ…。
こんな炭…胃癌の元だとはとても言えない。
「い、いただこう…」
震える手でその物体に手を伸す。
「………………」
精市はずっと俺を見ていた。嫌でも旨い顔をしなければ…
これは炭じゃない…
これは…そうだ…イカ墨クッキーだと思うことに……
「せ、精市…」
「ん?」
「げ、弦一郎には食わせたのか?」
「まだだけど…」
「わけてやるといい。きっと手放しで喜ぶぞ。」
「そうだね!ちょっと行ってくる!」
精市は笑顔で走り去って行った。
すまん弦一郎……。
お前の尊い犠牲を俺は忘れるまで忘れないぞ…。
俺はこのすきにあのおぞましい炭の物体をゴミ箱に捨てることに成功したのだった。
俺のために時を割いて作ってくれた…その気持ちだけ受け取ろう。
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「……っく」
電車に乗り込むとちょうど満員電車の時間帯に重なってしまったようだった。
右に左にかけられる圧力に潰れてしまいそうだ。
「幸村…こっちにこい」
扉側に幸村を押しやって身を呈して人込みから守るように体を張る。
「真田……」
真田の腕の中で真田の背中に守られながら幸村は言った。
「俺は……女じゃない」
だからこんな真似はやめてくれ。俺は平気だ。そう目で訴えたつもりだった。
苦笑を浮かべた真田はそう非難されることなどすでに承知のようだった。
「俺の自己満足だ。お前が気に病む必要はない。」
「……………。」
少しだけ背伸びをして幸村は真田にキスをした。
「ゆっ?!」
電車は駅のホームに滑りこむ。
ドアが開くと同時に幸村はタロットホームに足を踏み出して笑顔で振り返る。
「ああ…今のは俺の自己満足だからね。真田が気を病む必要はないよ。」
電車に乗り込むとちょうど満員電車の時間帯に重なってしまったようだった。
右に左にかけられる圧力に潰れてしまいそうだ。
「幸村…こっちにこい」
扉側に幸村を押しやって身を呈して人込みから守るように体を張る。
「真田……」
真田の腕の中で真田の背中に守られながら幸村は言った。
「俺は……女じゃない」
だからこんな真似はやめてくれ。俺は平気だ。そう目で訴えたつもりだった。
苦笑を浮かべた真田はそう非難されることなどすでに承知のようだった。
「俺の自己満足だ。お前が気に病む必要はない。」
「……………。」
少しだけ背伸びをして幸村は真田にキスをした。
「ゆっ?!」
電車は駅のホームに滑りこむ。
ドアが開くと同時に幸村はタロットホームに足を踏み出して笑顔で振り返る。
「ああ…今のは俺の自己満足だからね。真田が気を病む必要はないよ。」
好きだと言われた。
断っても断っても好きだと言われた。
好き好き好き好き……
「その気持ちには応えられないって言ってるだろ!」
はじめは優しくなるべく傷付けないようにしようと思っていたのにとうとう業をにやして怒鳴ってしまった。
ぐっと唇を噛締めて赤也は叫んだ。
「嫌だ」
部長の一番にしてくれないと嫌だ!!!
断っても断っても好きだと言われた。
好き好き好き好き……
「その気持ちには応えられないって言ってるだろ!」
はじめは優しくなるべく傷付けないようにしようと思っていたのにとうとう業をにやして怒鳴ってしまった。
ぐっと唇を噛締めて赤也は叫んだ。
「嫌だ」
部長の一番にしてくれないと嫌だ!!!
視線を感じる放課後は、部長が…卒業してしまったから彼はもう部長ではないけれど…部長がこっそり部の様子を見に来ている時だった。
背中にその重たい視線を背負う。
けれど赤也は決して振り返らなかった。
振り向いた瞬間に全てを投げ出して泣いてしまいそうな自分が怖かった。
一年。
この一年は、部長から託されたこの部のためだけに生きると決めた。呼吸し食べ排出して生きるのはこの部の伝統のためだ。
でも一年たったその時は。
脳裏にやきついたままの恋しい背中にしがみついて泣きたいと思う。
会いたかったと叫びながら。
遠くて長い365日。
背中にその重たい視線を背負う。
けれど赤也は決して振り返らなかった。
振り向いた瞬間に全てを投げ出して泣いてしまいそうな自分が怖かった。
一年。
この一年は、部長から託されたこの部のためだけに生きると決めた。呼吸し食べ排出して生きるのはこの部の伝統のためだ。
でも一年たったその時は。
脳裏にやきついたままの恋しい背中にしがみついて泣きたいと思う。
会いたかったと叫びながら。
遠くて長い365日。
引退して卒業した後も頻発に真田や蓮二とテニス部を見に行った。
人目のつかない物陰から、いつも彼を見ていた。
会いはしない。
彼の集中力を削ぐのは嫌だった。
声もかけず姿も見せず彼の動作を一通り観察して、気が済んだら帰った。
「たまには…声をかけてやったらどうだ?」
優しい参謀の声に幸村は首を横に振った。
「一年待つって決めてるんだ。」
一年。
短いようで途方もなく長い365日。
人目のつかない物陰から、いつも彼を見ていた。
会いはしない。
彼の集中力を削ぐのは嫌だった。
声もかけず姿も見せず彼の動作を一通り観察して、気が済んだら帰った。
「たまには…声をかけてやったらどうだ?」
優しい参謀の声に幸村は首を横に振った。
「一年待つって決めてるんだ。」
一年。
短いようで途方もなく長い365日。
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