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ちょっとした短い小説の掃き溜め。 CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。 (※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず) コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
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いつからだろうか。

桜を眺めるのが辛くなったのは。
「仁王……何してるんだい?」

幸村精市は呆然とただ前方を見ている仁王雅治の視線をたどる。

見事な八重桜が満開だった。

「綺麗だね。仁王、桜好きなの?」
「好きなものか…。」
「え?」
「嫌いじゃ桜なんて。」

まだかまだかと期待させあっという間に散っていく。
一枚一枚の花びらがひらひら散っていく様を眺めていたら無駄に切なくなって泣きたくなった。嬉しく楽しいことなんて何一つない。

桜を眺めていると残酷な時の流れを嫌でも体に刻み込まれた。

「約束…」
「え?」
「約束して欲しいのぅ」
「……何をだい?」
「来年の今日この時間この場所でもう一度一緒に桜を眺めるって」
クスッと幸村は笑った。

「意外とロマンチストなんだな、仁王は」
「何とでも言いんしゃい。」

「ふふっ…いいよ。」

突風が吹いて幸村はなびく髪を手で抑え込む。
桜が一斉に散る。

「え?」

顔をあげると優しく笑う幸村と目があった。

「だから約束するって言ったんだよ。」


来年の


この日


この場所で


君と二人で

もう一度


昔のように…桜が好きになれるかもしれないと少しだけ仁王は思った。
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