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ちょっとした短い小説の掃き溜め。 CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。 (※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず) コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
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体が重い時は心も重くなる。


苦しい。

寂しい。

切ない。

悲しい。

怖い。




真田の声が聞きたいと思うけれど、携帯電話に手を伸ばした瞬間に思いとどまる。


弱い姿を晒して失望されるのが怖いのだ。




俺は今日も膝をかかえて鳴らない電話をただ…見つめている。



俺の電話は今夜も鳴らない。




鳴らない電話。
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図書館に来るのは日々の日課だが…。

自分の趣味ではない本を手にとってしまった時はドキリとする。

精市へ本の差し入れをすることが、病と戦う精市に俺がしてやることのできる唯一のことだった。


あれは面白かった。
これはつまらない…。

精市のわがままに応えるのは楽しい。

精市の趣味や思考回路を考えて本を選ぶくせがついてしまった。

完全復帰を遂げ、帰ってきた精市にもはや本の差し入れは不要だが…。


それを寂しいと思ってしまうのは…利己的で…罪なことだろうか。

君はこの本に何を感じ何を思う?

君のことがもっと知りたい。



そう願うことは愚かだろうか。

教えて…欲しい。
「ねぇ真田」

病室で食い入るように雑誌を眺めていた幸村は、意外にも器用な手つきでりんごをむいていた真田に向かって言った。

「このアイドル、絶対整形したよな。昔と全然顔が違う。」
「…………。」

真田は手を止めると幸村が指差した女の写真を覗き見る。

見たことのない若い女だった。
美人だとは思ったがさして興味はわかない。

「俺にはわからん」

そう言うと幸村は眉をひそめて露骨に嫌そうな顔をした。

「真田と話していてもつまらないよ。もう無理して毎日来るな。」
「なっ…」

「ねぇ蓮二…このアイドルさ…」
絶句している真田に背を向けて幸村は先ほどからおとなしく読書に励んでいた参謀に声をかける。
「ああ、この女か…」

楽しそうに会話を弾ませる二人を眺めて真田は深く溜め息をついた。
「今日は帰る。幸村りんご剥いておいたぞ。また明日…来るからな」

真田が帰り支度を整えて席を立っても幸村は返事も上の空で一切振り返ることもしなかった。

もう一度深く溜め息をついて真田は病室を出て行った。





「精市」

柳蓮二は真田と違ってこの意地悪い人物の本心を知っている。

「いい加減、弦一郎をからかって遊ぶのはよせ。本当に愛想尽かされても俺は知らないからな。」

クスッと幸村は笑う。

その本当に楽しげな冷徹な微笑を浮かべた幸村に柳は言葉を失う。




「そんなこと有り得ないよ。」





どこからそんな根拠のない自信が産まれてくるのだろうか。

もうしばらく続くのであろうこの幸村のゲームに付き合わされる柳もまた一つ深い溜め息をこぼしたのだった。







真田は絶対に俺を裏切らない。

そうだろう、真田?
いつからだろうか。

桜を眺めるのが辛くなったのは。
「仁王……何してるんだい?」

幸村精市は呆然とただ前方を見ている仁王雅治の視線をたどる。

見事な八重桜が満開だった。

「綺麗だね。仁王、桜好きなの?」
「好きなものか…。」
「え?」
「嫌いじゃ桜なんて。」

まだかまだかと期待させあっという間に散っていく。
一枚一枚の花びらがひらひら散っていく様を眺めていたら無駄に切なくなって泣きたくなった。嬉しく楽しいことなんて何一つない。

桜を眺めていると残酷な時の流れを嫌でも体に刻み込まれた。

「約束…」
「え?」
「約束して欲しいのぅ」
「……何をだい?」
「来年の今日この時間この場所でもう一度一緒に桜を眺めるって」
クスッと幸村は笑った。

「意外とロマンチストなんだな、仁王は」
「何とでも言いんしゃい。」

「ふふっ…いいよ。」

突風が吹いて幸村はなびく髪を手で抑え込む。
桜が一斉に散る。

「え?」

顔をあげると優しく笑う幸村と目があった。

「だから約束するって言ったんだよ。」


来年の


この日


この場所で


君と二人で

もう一度


昔のように…桜が好きになれるかもしれないと少しだけ仁王は思った。
真田弦一郎が病室についた時、幸村精市は…ほのかに顔を火照らして静かに眠っていた。
先ほどナースセンターに通りかかった時顔見知りの看護婦が、今日は今朝から微熱が続いてずっと寝ているのだと教えてくれたのを思い出す。

ずれおちた冷えたタオルを額の上に整えてやる。
その手は元の位置には戻らず、そのまま幸村の頬におりてゆく。

通常の体温より、やや高い温度が冷えた真田の掌の感覚点から嫌でも伝わってくる。

眉を潜めた寝顔が幸村の苦しみを物語っていた。

「幸村…」

何をしているのだろう自分は。
手を離さなければならないのに執拗に体はそれを拒んだ。

「さな…だ…」

びくりとする。幸村が目覚めたのではなかった。

「寝言か…」

体は自然とかがみこみ、気がつけば幸村の唇に自分の唇を重ねている自分がいた。


(熱も病もこの口付けで全て吸い取ることができたらいい。)

(幸村が全ての苦しみから救われるのならば、俺は喜んで全ての苦を背負いたい。)




愛が生まれた日。
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