忍者ブログ
ちょっとした短い小説の掃き溜め。 CPごとにカテゴリをわけていないので、お目当てのCPがある方はブログ内検索を使ってください。 (※は性描写やグロい表現があるものです。読んでもご自身で責任がとれるという年齢に達している方のみ閲覧下さい。苦情等は一切受け付けませんのであしからず) コメントはご自由にどうぞ。いただけるとやる気が出ます。
[11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「うんしょっと」

幸村精市は本棚の一番上の棚に手を伸ばした。

背伸びをしたが、指先一つお目当ての本に届かない。

「う~ん…」


届いた!

そう思った瞬間にバランスを崩した。

「うあっ!」


倒れる…!と思ったが誰かの優しい腕に抱き留められた。

「大丈夫か?」
「あ~…えっとありがとう。」

ニコリと笑いかけたが、その長身の男は愛想笑い一つしなかった。
幸村が手を伸ばしてとれなかった本を簡単にとり、幸村に手渡す。

「これが欲しかったんだろう…」
「……ありがとう。えっと……」

「柳蓮二だ。」
「柳蓮二…君。」


男はその時はじめて端整な顔に微笑を浮かべた。

「それじゃあな、幸村精市君」

ヒラヒラと手を降りながら男は去っていく。



「…………俺のこと知ってるんだ…」

だとしたらテニスをする人なのだろう。


今日はじめてある部活で会うかもしれない。

「……蓮二か…」

一冊の本を抱き締めて幸村は窓の外を眺めた。

桜が満開の中学生になってはじめて迎える春だった。








PR

時には夢を見る。

山のようなケーキをただひたすら食べ続ける至福の夢。
甘くて、美味しい夢。


「夢の中でもケーキを食べれる俺って本当に天才的だと思わない?」

「思わない。」

薄そうな生地のパジャマを見にまとった幸村は、指先で丸井の口端についたままの生クリームを拭ってやる。

「あれ?ついてた?」
頭を掻きながら丸井は箱の中の次のケーキに手を伸ばした。
「ねぇブン太…」
「ん?」

その白くて細い腕からは思いもつかぬ腕力で幸村は丸井をベッドに押し出す。

突然視界に入り込んだ天井を丸井はわけがわかぬまま不思議そうに見つめた。

「食べ物をガツガツ食べる夢はさ…欲求不満って意味なんだよ?知ってた?」


ケーキよりも甘そうな声で幸村は嘲笑った。



何よりも君が食べたい。
俺の愛する人は遠い人。

遠くて、遠くて、追いついたと思ったらすぐ手が届かなくなる。

どこまでも遠い人。





立海大付属高校のテニス部の活動をフェンス越しに切原赤也は眺めていた。


愛する人は卒業してしまった。


長くて遠い一年。


「なぁ…」
隣にいた同級生が口を開いた。
「切原って好きな人いんの?」


フェンスを掴んでいた手の力が強まる。

「いるよ。」




遠くて


遠くて


遠い人が。
「幸村、アイス買ってきたぞ。」
「いらない。」

「いらない?お前が買ってこいと……」

「気分じゃなくなったんだ。いらないよ」

「しかし…早く食べないと溶けて…」

「うるさいな。その辺に置いて早く帰れ。」

「…………。」





















「蓮二、アイスとって」

「………さっきいらないと言っていたじゃないか」

「食べる気分になったんだ」

「弦一郎がいなくなったから…か?」

「…………いいからアイスとってよ。」

「だいぶ溶けてしまっているぞ?」

「いいんだ…真田が買ってきたアイスが食べたいから…」




柳蓮二はだいぶ感触の柔らかいアイスのカップを幸村精市に手渡すと苦笑して言った。



お前も…とんだ天の邪鬼だな。
丸井ブン太が部室に行くと、机に一つケーキの箱がのっていた。
「おっケーキじゃ~ん!」

すでに口の中から唾液が溢れてくる。食べ物に対する丸井の反射は恐ろしく敏感だ。

「そういえば!」

今日俺誕生日だろぃ


肝心なファクターを思い出す。
となるとこのケーキは心優しい部員の誰かが自分のために買ってきてくれたものとしか思えない。
「きゃっほー!」
誰もいない部室で一人、丸井は飛び上がりケーキの箱に抱きついた。
俺が全部食べたところで問題あるまいとケーキの箱を開封する。
が…。

「なんだ?」

ケーキの箱は空だった。

中身一つ入っていない。

ガチャリと扉があき、部屋には幸村が入ってきた。

「あれ?ブン太今日は遅かったね。居残りでもさせられたの?」
「幸村君…」

丸井は涙目で幸村を振り返る。
「幸村君…ケーキは?」

「ケーキ?」
きょとんとした顔を一瞬見せた幸村もケーキの箱を目にして、ああと頷いた。

「それ差し入れで貰ったんだけど、数が少なくてね…早いもの勝ちだったんだよ。もちろん俺は食べたけどね。イチゴのショートケーキとモンブランとミルフィーユ♪」
「………」

数が少ないとわかっていて部長は三個も平らげたらしい。

「ケーキ…」

丸井は一瞬にして白くなり、うなだれた。
某ボクシング漫画の主人公の最後のように…。

そんな丸井にお構いなしでマイペースの部長は、鼻歌混じりに自分のロッカーで着替えはじめる。
制服に着替えているところを見ると…今日は部活を早退するのであろうか。

「ところでブン太」

幸村は、すっかり着替え終わると石化したままの丸井を振り返る。
「これな~んだ♪」

丸井の前でヒラヒラと2枚の紙を振る。

「ああっ!」
丸井の目に光が再び宿った。

「帝国レストランのケーキバイキングのチケット!!!」

「ご名答♪」

幸村はにっこり笑ってケーキの箱をグシャリとつぶした。

「お誕生日おめでとう。さぁ行こうか」
「幸村君!」







空のケーキの箱が人をもて遊ぶのが大好きな人の悪い部長の演出であったことを…丸井は知らない。



HAPPY BIRTHDAY
カレンダー
01 2026/02 03
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
ブログ内検索
フリーエリア
最新コメント
[12/12 きみこ(管理人)]
[12/06 高槻沙智]
[09/02 きみこ(管理人)]
[09/01 ルネス]
[08/30 きみこ(管理人)]
プロフィール
HN:
きみこ
性別:
非公開
バーコード
忍者ブログ [PR]